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■前集32項

居卑而後知登高之為危。
処晦而後知向明之太露。
守静而後知好動之過労。
養黙而後知多言之為躁。

卑(ひく)きに居(お)りて而後(しかるのち)高きに登るの危きを知る。
晦(くら)きに処(お)りて而後(しかるのち)明るきに向うの太(はなは)だ露(あらわ)るるを知る。
静(せい)を守りて而後(しかるのち)動を好むの労(ろう)に過ぐるを知る。
黙(もく)を養いて而後(しかるのち)言の多きの躁(そう)たるを知る。

低いところに居るからこそ、高いところに上るのだろうが、危険をわきまえておくこと。
暗いところに居るからこそ、明るいところに出るだろうが、でしゃばりをわきまえておくこと。
静けさを守っていたからこそ、動きたくなるだろうが、働き過ぎをわきまえておくこと。
言葉少ないを守っていたからこそ、多弁の騒がしさをわきまえておくこと。
つまり、活人は、対極に在る時に学び、対極に行きて活かすという戒めを忘れてはならない。
言い換えれば、欲望に任せた過剰反応、反動は厳に謹むのが活人ということ。
慧智(030602)