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■前集50項

福莫福於少事、過莫過於多心。
唯苦事者、方知少事之為福、
唯平心者、始知多心之為過。

福(さいわい)は事少なきより福(ふく)なるはなく、禍(わざわい)は心多きより禍(か)なるはなし。
唯(た)だ事に苦しむ者は、方(はじ)めて事少なきの福たるを知る。
唯(た)だ心を平かにする者は、始めて心多きの禍(わざわい)たるを知る。

最も幸せなことは、事件が少ないということで、不幸なことは、心ここに在らずという状態のことだ。
日頃ゴタゴタ苦しんでいる者は、事件が少ないことこそ幸福だと知っている。
そして、心が穏やかな者は、心ここに在らずの状態が不幸だということを知っている。
つまり、平凡が一番ということを知っている人間こそが幸せなのだ。
言い換えれば、活人とは「無事是貴人」を地で行ける人なのだろう。
慧智(030605)