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■前集65項

名根未抜者、縦軽千乗甘一瓢、総堕塵情。
客気未融者、雖沢四海利万世、終為剰技。

名根(めいこん)の未だ抜(ぬ)けざる者は、縦(たと)い千乗(せんじょう)を軽(かろ)んじ一瓢(いっぴょう)に甘んずるとも、総(すべ)て塵情(じんじょう)に堕つ。
客気(かっき)の未だ融(と)けざる者は、四海(しかい)を沢(うるお)し万世(ばんせい)を利すと雖(いえど)も、終(つい)に剰技(じょうぎ)となる。

名誉欲を捨てきれない者は、口では謙遜して謙虚ぶっていても、周囲には全てバレている。
競争心を捨てきれない者は、たとえ世界を富ませ、後世にまで恩恵を与えたとしても、結局は無駄骨にある。
つまり、口先だけの人格者は、実際の生活が物欲まみれで、競争に現を抜かしているのはバレバレで、どんなメリットを社会与えようと、何れは捨てられる、ということ。
言い換えれば、活人の敵は活人の過去だと言える。
慧智(030608)