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■後集31項

嗜寂者、観白雲幽石而通玄、趨栄者、見清歌妙舞而忘倦。
唯自得之士、無喧寂、無栄枯、無往非自適之天。

寂(じゃく)を嗜(たしな)む者(もの)は、白雲幽石(はくゆうせき)を観(み)て玄(げん)に通(つう)じ、栄(えい)に趨(はし)る者(もの)は、清歌妙舞(せいかみょうぶ)を見(み)て倦(う)むを忘(わす)る。
唯(ただ)、自得(じとく)の士(し)は、喧寂(けんじゃく)無(な)く、栄枯(えいこ)無(な)く、往(ゆ)くとして自適(じてき)の天(てん)に非(あら)ざるは無(な)し。

静寂を好む者は、自然な雲や石の風情を観て深遠な世界に心を奪われ、、栄華を追い求める者は、清らかな歌や妙なる舞を観て心を奪われる。
ただ、自ら悟りを開いて者のみ、静寂や喧騒を超越し、随所で主となって因・縁・果が循環する世界を悠々と生きている。
つまり、達人は“あるべき様”を心得て、それを楽しんでいる。
言い換えれば、達人とは正に自然体の人を言うのだろう。
慧智(030713)