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■後集63項

林間松韻、石上泉声、静裡聴来、識天地自然鳴佩。
草際煙光、水心雲影、閑中観去、見乾坤最上文章。

林間(りんかん)の松韻(しょういん)、石上(せきじょう)の泉声(せいせい)、静裡(せいり)に聴(き)き来(き)たって、天地自然(てんちしぜん)の鳴佩(めいはい)を識(し)る。
草際(そうさい)の煙光(えんこう)、水心(すいしん)の雲影(うんえい)、閑中(かんちゅう)に観(み)去(さ)って、乾坤最上(けんこんさいじょう)の文章(ぶんしょう)なるを見(み)る。

林から聞こえる松風の響きや岩をの間を流れる泉の音を静かに聞いていると、それが大自然が奏でる妙なる音楽であることに気付く。
野原の果てに棚引く霞や清らかな水面に映る雲の姿は、揺ったりした気持ちで眺めていれば、大自然が描き出す最上の絵画であることに気付く。
つまり、心の余裕が美しさを発見でき、その美しさは本来の心を呼び覚ましてくれるということ。
言換えれば、達人は、先ずは心の余裕をつくり、大自然に身を任せてみることが人生の仕上げでは大事だということを覚えておこう。
慧智(030717)