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■前集55項

心地乾浄、方可読書学古。
不然見一善行竊以済私、聞一善言仮以覆短。
是又藉寇兵、而齎盗粮矣。

心地、乾浄(けんじょう)にして、方(はじ)めて書を読み、古(いにしえ)を学ぶべし。
然(しか)らざれば、一(いつ)の善行を見ては、竊(ぬす)みて以って私を済(すく)い、一の善言を聞いては、仮りて以って短を覆(おお)う。
これまた寇(こう)に兵を藉(か)し、盗(とう)に粮(ろう)を齎(もたら)すなり。

心がサバサバして清潔であってこそ温故知新だが、そうでなければ、都合の良いことばかり考えて利己心を満足させる。
このようなことでは、敵に武器を与え、泥棒にご馳走するようなもので、どんなに勉強しようと、自分のためにならない。
つまり、正しい心と正しい行いを前提として成果は実るということで、清心万能、邪心万危ということ。
言い換えれば、活人とは、成功者なのだ。