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■前集56項

奢者富而不足。
何如倹者貧而有余。
能者労而府怨。
何如拙者逸而全真。

奢(おご)る者は富みて而(しか)も足らず。
何ぞ倹(つつましやか)なる者の貧(まず)しきに而(しか)も余りあるを如(し)かん。
能ある者は、労して而(しか)も怨(うら)みに府(あつ)まる。
何ぞ拙(つたな)き者の逸(いつ)にして而(しか)も真を全(まっと)うするに如(しか)ん。

贅沢な者は、いくら豊かでも満足しないが、いくら貧乏でも余裕のある倹約家はいる。
また才能のある者は、いくら努力しても恨みをかい、いくら粗忽でも本質に生きる者はいる。
つまり、足るを知って気楽に生きるのが最も幸せだということ。
言い換えれば、活人の人生は、正に、在べき様。忙しい時は忙しい様に、余裕がある時はユッタリと過ごしているのだ。