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■前集67項

人知名位為楽、不知無名無位之楽為最真。
人知饑寒為憂、不知不饑不寒之憂為更甚。

人は名位(めいい)の楽しみ為(た)るを知りて、名(な)無く位(くらい)無きの楽しみの最(っと)も真(しん)たるを知らず。
人は饑寒(きかん)の憂(うれ)い為(た)るを知りて、饑(う)えず寒(こご)えざるの憂いの更(さら)に甚(はなはだ)しきたるを知らず。

俗人は、地位や名誉の有る人が理想と考えることが多いが、地位も名誉も何もない人のが最も幸せだということを知らない。
俗人は、餓えや凍えが厳しいことを知って不安になることを知っていても、十分に満たされている者の不安が最も深刻であることを知らない。
つまり、隣の芝生は良く見えるが、その芝生を手に入れると幸せどころか大きな不安を手に入れることになるというようなものだ。
言い換えれば、無い物ねだりは、悲惨の極みということ。
翻って言えば、活人は無欲の大人と言える。
慧智(030608)