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■前集70項

燥性者火熾、遇物則焚。寡恩者氷清、逢物必殺。
凝滞固執者、如死水腐木、生機已絶。
倶難建功業而延福祉。

燥性(そうせい)なる者、火のごとく熾(さかん)にて、物に遇(あ)わば則(すなわ)ち焚(や)く。寡恩(かおん)なる者は氷のごとく清く、物に逢えば必ず殺す。
凝滞固執(ぎょうたいこしつ)する者は、死水腐木(しすいふぼく)の如く、生機(せいき)已(すで)に絶(た)ゆ。倶(とも)に功業(こうぎょう)を建(た)てて福祉延べがたし。

心が渇いた者は、火が燃えるように激しく、出合った物をみな焼いてしまう。
情の薄い者は、氷のように冷たく、出会った者を必ず殺してしまう。
物事に強く固執する者は、澱んだ水や腐った木のように、生かす力を失っている。
このような人達は、大きな事業を起こし、人を幸福にするのは難しい。
つまり、価値のある人物とは、人間としての温かみを持ちながら、情に溺れず、拘り、囚われ、偏りのない人間ですよ、ということ。
言い換えれば、活人は心が広く情より仁を優先する人と言う事になる。
慧智(030609)