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■前集69項

天之機緘不測。
抑而伸、伸而抑、皆是播弄英雄、顛倒豪傑処。
君子只是逆来順受、居安思危。
天亦無所用其伎倆矣。

天の機緘(きかん)は測(はか)られず。抑(おさ)えて伸(の)べ、伸(の)べては抑(おさ)え、皆(みな)是れ英雄(えいゆう)を播弄(ばろう)し、豪傑(ごうけつ)を顛倒(てんとう)する処(ところ)なり。
君子は只だ是れ、逆に来たれば順(じゅん)に受け、安(やす)きに居りて危(あやう)きを思うのみ。天も亦(また)其の伎倆(ぎりょう)を用(もら)うる所無し。

天のカラクリは予想を超える。押さえつけたかと思えば伸ばし、伸ばしたかと思えば抑え、英雄を翻弄し、豪傑の足をすくって転ばしてしまう
しかし、上に立つ懸命な者は、向かい風が吹いた時は、追い風と受け止め、安全な時に危機を意識するの。よって、天でも、そのような者を妨害することはできない。
つまり、驕る平家は久しからず、ということであり、勝敗は絶えず流動的だから、偏らず囚われない心こそ自然界の勝利の法則だということ。
言い換えれば、活人は「克人」と買い換えることも出来るだろう。
慧智(030608)