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■前集85項

貧家浄払地、貧女浄梳頭、景色雖不艶麗、気度自是風雅。
士君子、一当窮愁寥落、奈何輙自廃弛哉。

貧家(ひんか)も浄(きよ)く地を払い、貧女(ひんじょ)も浄(きよ)く頭(こうべ)を梳(くしけず)れば、景色(けいしょく)は艶麗(えんれい)ならずと雖(いえど)も、気度(きど)は自(おの)ずから是れ風雅(ふうが)なり。
士君子(しくんし)、一(ひと)たび窮愁寥落(きゅうしゅうりょうらく)に当るも、奈何(いかん)ぞ輙(すなわ)ち自(みず)から廃弛(はいし)せんや。

貧しい家でもしっかりと掃き掃除をし、貧しい女でも綺麗に髪を梳いておけば、見かけは美しいとは言えなくても、チャーミングなのだ。
だから、一人前の人間は、困難な状態に陥っても、おたおたして逃げ出さないものだ。
つまり、一人前の人間は質実剛健ということだ。
言い換えれば、活人は一人前の人間の上に立つところから、質実剛健の見本を示せる人間ということだ。
慧智(030611)