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■前集100項

居逆境中、周身皆鍼砭薬石、砥節礪行而不覚。
処順境内、満前尽兵刄戈矛、銷膏靡骨而不知。

逆境(ぎゃっきょう)の中(うち)に居(お)らば、周身(しゅうしん)皆(みな)鍼砭薬石(しんべんやくせき)にして、節(せつ)を砥(と)ぎ行(おこな)いを礪(みがき)くも、而(しか)して覚(さと)らず。
順境(じゅんきょう)の内(うち)に処(お)らば、満前(まんぜん)尽(ことごと)く兵刄戈矛(へいじんかほう)にして、膏(こう)を銷(と)かし骨(ほね)を靡(へ)らすも、而(しか)して知らず。
注)砭:いしばり

人間が逆境にある時は心身が成長する機会の中にあるようなものだが、本人はそれを自覚できないし、順風満帆の時は心身が消耗する戦火の中にあるのだが、本人はそれに気が付かない。
つまり、「賢者は愚者の学び、愚者は賢者に学ばず」と同じように、下を向いている時も、上を向いている時も、平常心を保てない人間は成長しないのである。
言い換えると、活人の「坐禅」は、先ずは「平常心」を得ることなのだ。
慧智(030615)