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■前集116項

千金難結一時之歓、一飯竟致終身之感。
蓋愛重反為仇、薄極翻成喜也。

千金(せんきん)も一時の歓(かん)を結び難たく、一飯(いっぱん)も竟(つい)に終身の感を致(いた)す。
蓋(けだ)し、愛、重ければ反(かえ)りて仇(あだ)となり、薄(はく)極(きわ)まりて翻(かえ)りて喜びと成るなり。

大金を使っても、その場限りの喜びでさえ手に入れるのが難しいが、たった一回の食事が生涯の感動を齎すこともある。
思うに、情が深ければ害を及ぼすこともあり、薄情が喜びとなることもある。
つまり、過ぎたるは及ばざるが如しであり、この世の出来事は全て考え方で価値が決まるので「量」の概念では考えられない、ということ。
しかし、実は多すぎる、少なすぎるのが問題なのではなく、「過不足無い」ことこそ人生、ということだろう。
言い換えれば、活人は中庸の人といえるのだ。
慧智(030617)