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■前集117項

蔵巧於拙、用晦而明、寓清之濁、以屈為伸。
真渉世之一壷、蔵身之三窟也。

巧(こう)を拙(せつ)に蔵(かく)し、晦(かい)を用いて明(めい)とし、清(せい)を濁(だく)に寓(ぐう)し、屈(くつ)を以って伸(しん)と為(な)す。
真(まこと)に世を渉(わた)るの一壷(いっこ)にして、身を蔵(かく)するの三窟(さんくつ)なり。

優れた才能がありながら、つまらない人間のように振る舞い、聡明さを愚か者のように見せて、腰を低くしているようで実は伸び伸びとしている。
このような世渡り術が救命胴衣となり、身を隠す3つの隠れ家ななる。
つまり、切れ者は警戒され、愚鈍は無防備となり、自慢と派手は下衆な連中の特徴で、本当に知恵があれば擬態で生きるのが人生の安全が確保されますよ、ということ。それこそ処世術の極意ということだろう。
言い換えれば、活人の条件は、大自然に学んだ柔軟性なのだろう。

*狡兎三窟(こうとさんくつ)斉策「戦国策」にある、ズル賢いウサギは3つの隠れ家を持つという喩えからの引用だろう。
慧智(030617)