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■前集92項

貞士無心徼福。天即就無心処牖其衷。嶮人着意避禍。
天即就着意中奪其魄。可見天之機権最神。人之智巧何益。

貞士(ていし)は福を徼(もと)むるに心無し。
天、即(すなわ)ち無心の処に就(つ)きてその衷(ちゅう)を牖(ひら)く。
嶮人(けんじん)は禍(わざわ)いを避(さ)くるに意(い)を着(つ)く。
天、即(すなわ)ち着意(ちゃくい)の中(うち)に就(つ)きてその魄(はく)を奪(うば)う。
見るべし、天の機権(きけん)の最(もっと)も神(しん)なるを。人の智巧(ちこう)は何の益(えき)あらん。

節操の有る者は、幸福を求めようとする心が無いので、天はその無心の者に報いるため正しい方向性を示す。
これに反して“ひねくれ者”は不幸を避けることばかりに気を取られているので、天はその執着心を砕き命を脅かして警告をする。
天の道が神秘的な働きを持っているのは明らかであり、人間の知恵など役にたつだろうか。
つまり、天は、無心で悠然としている者に味方し、下衆な臆病者には鉄槌を下すなど、人間の知恵などはるかに及ばないのである。
言い換えれば、活人はこの世の免疫力と恒常性維持力を本能的に知っている人なのかもしれない。
慧智(030613)