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■前集93項

声妓晩景従良、一世之胭花無碍。
貞婦白頭失守、半生之清苦倶非。
語云看人只看後半截。真名言也。

声妓(せいぎ)も晩景(ばんけい)、良(りょう)に従えば、一世(いっせい)の胭花(えんか)、碍(さまた)げ無し。
貞婦(ていふ)も白頭(はくとう)に守りを失わば、半生(はんせい)の清苦(せいく)、倶(とも)に非なり。
語(ご)に云(い)う、「人を看(み)るには、只後(ただのち)の半截(はんせつ)を看み)よ」真(まこと)に名言(めいげん)なり。

派手な生活をしていた歌手も年老いて良縁に恵まれれば、過去は何の妨げにならない。
ところが、貞節な女性が白髪が見立つようになってから、道を踏み外せば、苦労した半生は水泡に化してしまう。
ことわざに、人の生涯を評価するには、後半の半生を見れば十分、というが本当に名言である。
つまり、若い時や始めたばかりの時は色々とあるが、人間の真価が解かるのは「後半」を如何に生きるか、ということ。
言い換えれば、活人は、退職してからを、人生の仕上げに費やせる火とだろう。
慧智(030613)