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■前集151項

水不波則自定、鑑不翳則自明。
故心無可清。
去其混之者而清自現。
楽不必尋。
去其苦之者而楽自在。

水は波たたざれば則(すなわ)ち自(おのず)から定まり、鑑(かがみ)は翳(くも)らざれば、おのずから明らかなり。
故に心は清くすべき無し。
其の之を混(にご)らす者を去(のぞ)かば、清(せい)自(おの)ずから現わる。
楽しみは必ずしも尋ねず。
其の之を苦しむる者を去(のぞ)かば、楽しみ自(おの)ずから在(そん)す。

水は波が無ければ、自然と静かに定まり、鏡は曇らなければ自然と事実を映す。
だから、人の心はあえて清らかにすることはない。
心を曇らすものを取り省けば、本来の清らかさが自然と現れる。
同様に楽しみを外に求める必要はない。
心を苦しめるものを取り省けば、本来の楽しみは自然とそこにある。
つまり、人間の心はムクなので、汚れないようにしていれば良いので、綺麗にしようとする必要はない、ということ。
言換えれば、活人は鍛え清めるというようより、汚れないことが一番なのだ。
慧智(030624)