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■前集203項

居盈満者、如水之将溢未溢。
切忌再加一滴。
処危急者、如木之将折未折。
切忌再加一搦。

盈満(えいまん)に居(お)る者(もの)は、水(みず)の将(まさ)に溢(あふ)れんとして、未(いま)だ溢(あふ)れざるが如(ごと)し。
切(せつ)に再(ふたた)び一滴(いってき)を加(くわ)うることを忌(い)む。
危急(ききゅう)に処(お)る者(もの)は、木(き)の将(まさ)に折(お)れんとして未(いま)だ折(お)れざるが如(ごと)し。
切(せつ)に再(ふたた)び一搦(いちじゃく)を加(くわ)うることを忌(い)む。

地位・財産・名誉が十分な人は、コップの水が表面張力で零れないような状態である。
だから、これ以上は一滴たりとも水が加わることを嫌って避ける。
危険が差し迫っている人は、木が折れようとして折れないでいるような状態である。
だから、これ以上は一押しとも力が加わることを嫌って避ける。
つまり、何事も「限界」に達すると、只管に不安が増大し、保身にしか目が行かず、活き活き生きることが出来なくなる。
言い換えれば、満ちれば欠ける月と同じように、限界に達すれば、物事は反転するということを活人は覚えておく必要があるのだ。
翻って言えば、活人よ、人間どん底になれば上がるし、頂上に達すれば衰えるということだ。
慧智(030704)