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■前集222項

桃李雖艶、何如松蒼栢翠之堅貞。
梨杏雖甘、何如橙黄橘緑之馨冽。
信乎、濃夭不及淡久、早秀不如晩成也。

桃李(とうり)は艶(えん)なりと雖(いえど)も、何(なん)ぞ松蒼栢翠(しょうそうはくすい)の堅貞(けんてい)なるに如(し)かん。
梨杏(りきょう)は甘(あま)しと雖(いえど)も、何(なん)ぞ橙黄橘緑(とうおうきつりょく)の馨冽(けいれつ)なるに如(し)かん。
信(まこと)なるかな、濃夭(のうよう)は淡久(たんきゅう)に及(およ)ばず、早秀(そうしゅう)は晩成(ばんせい)するに如(し)かざるなり。

桃やスモモの花は艶(あで)やかだが、松や柏の常緑の強さには及ばない。
梨やアンズの実は美味しいが、黄色のダイダイや緑のミカンの芳香には及ばない。
何はともあれ、艶やかでない物は、さっぱりして長続きするものには及ばないし、早熟は晩成に及ばないのは事実だ。
つまり、世間の評判がよい早熟で表面的なものは、たっぷりと時間がかかった実質的で内容の充実したものには及ばないということ。
言い換えれば、現代は、軽薄短小が持て囃されているが、重厚長大の素晴らしさを忘れてはならないということかもしれない。
翻っていれば、活人よ、蘇らせよ“製造業”とも聞こえる。
慧智(030706)