■後集23項
色慾火熾、而一念及病時、便興似寒灰。
名利飴甘、而一想到死地、便味如嚼蝋。
故人常憂死慮病、亦可消幻業而長道心。
色慾(しきよく)は火(ひ)のごとく熾(さか)んなるも、而(しか)も一念(いちねん)病時(びょうじ)に及(およ)べば、便(すなわ)ち興(きょう)は寒灰(かんかい)に似(に)たり。
名利(めいり)は飴(あめ)のごとく甘(あま)けば、而(しか)も一想(いっそう)死地(しち)に到(いた)れば、便(すなわ)ち味(あじわ)いは嚼蝋(しゃくろう)の如(ごと)し。
故(ゆえ)に、人(ひと)、常(つね)に死(し)を憂(うれ)え、病(やまい)を慮(おもんぱか)らば、亦(また)幻業(げんぎょう)を消(け)して、道心(どうしん)を長(ちょう)ずべし。
色情は火のように燃え上がるものだが、病気になった時のことを想起すると、色情は一気に冷めて灰のようになる。
名誉や金銭は飴のように甘いものだが、死んだ時のことを想起すると、物欲は一気に冷めてロウソウを噛むような気分になる。
だから、人間は常に死を思い、病気を気に掛けていれば、幻のような瞬間的な欲望を消せることが出来るので、達人の道を歩みなさいということ。
つまり、達人は一瞬の欲望を完成された心で昇華し淡々と生きましょう、ということ。言い換えれば、誰にでも起こる欲望を管理できないようでは達人とはとても言えませんね、ということだろう。
慧智(030711)