■後集22項
松澗辺、携杖独行、立処雲生破衲。
竹窓下、枕書高臥、覚時月侵寒氈。
松澗(しょうかん)の辺(ほとり)、杖(つえ)を携(たずさ)えて独(ひと)り行(ゆ)けば、立(た)つ処(ところ)、雲(くも)は破衲(はの)に生(しょう)ず。
竹窓(ちくそう)の下(もと)、書(しょ)を枕(まくら)にして高(たか)く臥(ねむ)れば、覚(めざ)むる時(とき)、月(つき)は寒氈(かんせん)を侵(ひた)す。
松林の間を流れる谷川のほとりを、杖を頼りに一人で散歩をして立ち止まると、ボロ衣に雲が纏(まつ)わる。
竹が覆い茂る窓辺で、本を枕にして安心しきって眠り、ふと目覚めると、破れた茣蓙を名月が照らす。
つまり、達人の暮らしぶりは、質素で極めて穏やかが宜しいということ。
言い換えれば、都会の喧騒を離れ、一人静かに自然を相手に本来の己と同行二人という生き方が達人らしいのかも知れない。
慧智(030711)