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■後集34項

禅宗曰、饑来喫飯倦来眠。
詩旨曰、眼前景致口頭語。
蓋極高寓於極平、至難出於至易、有意者反遠、無心者自近也。

禅宗(ぜんしゅう)に曰(いわ)く、「饑(う)え来(き)たれば飯(はん)を喫(きっ)し、倦(う)み来(き)たれば眠(ねむ)る」。
詩(し)の旨(し)に曰(いわ)く、「眼前(がんぜん)の景致(けいち)、口頭(こうとう)の語(ご)」。
蓋(けだ)し、極高(きょくこう)は極平(きょくへい)に寓(ぐう)し、至難(しなん)は至易(しい)に出(い)で、有意(うい)の者(もの)は反(かえ)って遠(とお)く、無心(むしん)の者(もの)は自(おのず)から近(ちか)きなり。

禅の教えでは、「腹が空けば飯を食い、眠ければ眠る」という自然体の生活をせよという。(景徳伝灯録30巻)
詩の教えでは、「目の前の景色は、口から出る言葉」がとかれる(王陽明の詩)
考えるに、極大は極小の中にあり、難解な事は平易な事の中に見え、考え過ぎる者はそれが解からず、無心であれば自然と解かっている。
つまり、達人は、二元論的な頭で生きるのではなく、一元論的な心で生きて生きなさいと言っている。正に「無」の境地を体現しなさいということ。
言い換えれば、達人が目指す境地は、禅が提唱する世界であり、目指すべき生活は禅が教える在り方と言えるだろう。
慧智(030713)