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■後集37項

時当喧雑、則平日所記憶者、皆漫然忘去。
境在清寧、則夙昔所遺忘者、又恍爾現前。
可見静躁稍分、昏明頓異也。

時(とき)、喧雑(けんざつ)に当(あた)らば、則(すなわ)ち平日(へいじつ)記憶(きおく)する所(ところ)の者も、皆(みな)漫然(まんぜん)として忘(わす)れ去(さ)る。
境(きょう)、清寧(せいねい)に在(あ)らば、則(すなわ)ち夙昔(しゅくせき)遺忘(いぼう)する所(ところ)の者も、又(また)恍爾(こうじ)として前(まえ)に現(あら)わる。
見(み)るべし、静躁(せいそう)稍(やや)分(わか)るれば、昏明(こんめい)頓(とみ)に異(こと)なるを。

忙しない状態の時には、日ごろ覚えている事までも、みな忘れてしまう。
こざっぱりと清々しい状態の時には、とっくの昔に忘れてしまっていた事までもありあり思い出す。
そうして見ると、余裕が有るか、無いかではでは天地の差が出ることを覚えておくべきだ。
つまり、達人はどんな時でも心に余裕を残しておかなければならないということ。
言い換えれば、心の余裕こそ達人の幸・不幸を左右する大きな要因ということだ。
慧智(030714)