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■後集44項

徜徉於山林泉石之閒、而塵心漸息。
夷猶於詩書図画之内、而俗気潜消。
故、君子雖不玩物喪志、亦常借境調心。

山林泉石(さんりんせんせき)の閒(かん)に徜徉(しょうよう)せば、而(すなわ)ち塵心(じんしん)漸(ようや)く息(や)む。
詩書図画(ししょづが)の内(うち)に夷猶(いゆう)せば、而(すなわ)ち俗気(ぞくき)潜(ひそ)かに消(き)ゆ。
故(ゆえ)に君子(くんし)は、物(もの)を玩(もてあそ)びて志(こころざし)を喪(うしな)わずと雖(いえど)も、亦(また)常(つね)に境(きょう)を借(か)りて心(こころ)を調(ととの)う。

素晴らしい景観の大自然の中をのんびりと歩いていると、俗世間で心にこびり付いた埃は徐々に取れる。
風流な文化である詩、書、絵画などに親しんでいると、世俗的な気分は徐々に消えてゆく。
だから、上に立つ立派な人間は、本来は眼前の物事を左右されてはならないが、時には物事を利用して心を調えることも必要だ。
つまり、達人は物事の拘らず囚われないことを主眼としているだろうが、それを拒絶するのではなく、あるがままに受け入れ、心を調えるのに利用することが大切だということ。
言い換えれば、達人は自然体で生きているのだ。
慧智(030715)