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■後集47項

機動的、弓影疑為蛇蝎、寝石視為伏虎。
此中渾是殺気。
念息的、石虎可作海鷗、蛙声可当鼓吹、触処倶見真機。

機(き)動(うご)くは、弓影(きゅうえい)も疑(うたが)いて蛇蝎(だかつ)と為(な)し、寝石(しんせき)も視(み)て伏虎(ふっこ)と為(な)す。
此(この)中(うち)渾(すべ)て是(こ)れ殺気(さっき)なり。
念(ねん)息(や)むは、石虎(せっこ)も海鷗(かいおう)と作(な)し、蛙声(あせい)も鼓吹(こすい)に当(あ)つべし。
触(ふ)るる処(ところ)倶(とも)に真機(しんき)を見(み)る。

心が動揺している者は、弓の陰を見ても蛇かサソリかと疑い、横たわっている石を見て伏している虎だと見做す。
そこには全て殺気がある。
雑念を持たない者は、暴虐な虎もカモメのように手なずけ、カエルの鳴き声でも太鼓や笛のように聴くことが出来る。
そこには全てが真気がある。
つまり、達人は如何なるものからでも、本質をつかめるということ。
言換えれば、一を知れば千を見通せるということだ。
慧智(030716)