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■後集52項

多蔵者厚亡。
故知富不如貧之無慮。
高歩者疾顛。
故知貴不如賤之常安。

多(おお)く蔵(ぞう)する者(もの)は厚(あつ)く亡(うしな)う。
故(ゆえ)に知(し)る、富(とみ)は貧(まずしき)の慮(おもんぱか)り無(な)きに如(しか)ざる。
高(たか)く歩(あゆ)む者(もの)は、疾(はや)く顛(たよ)る。
故(ゆえ)に知(し)る、貴(き)は賤(いやしき)の常(つね)に安(やす)きに如(し)かざるを。

財産が多い者は、その分だけ損害を受け易い。
だから、富むより貧しい方が、心配など無くて良いことが解かる。
地位が高い者は、その分だけ倒れ易い。
だから、身分が高い者より、庶民の方が常に安心していられることが解かる。
つまり、それを理解できるのは両方を経験した者であるから、達人は地位があろうと無かろうと、富が有ろうが無かろうが、地位や財産に執着せず、いつでも庶民のように慎ましく暮らしていることだ。
言換えれば、達人は全てを捨ててしまった方が幸せに暮らせるだろう。
慧智(030717)