«« ■後集85項 | メイン | ■後集87項 » »

■後集86項

天地中万物、人倫万情、世界中万事。
以俗眼観、紛紛各異、以道眼観、種種是常。
何煩分別、何用取捨。

天地(てんち)の中(なか)の万物(ばんぶつ)、人倫(じんりん)の中(なかの)の万情(ばんじょう)、世界(せかい)の中(なか)の万事(ばんじ)。
俗眼(ぞくがん)を以(もっ)て観(み)れば、紛々(ふんぷん)として各(おのおの)異(こと)なるも、道眼(どうがん)を以(もっ)て観(み)れば、種々(しゅしゅ)に是(こ)れ常(じょう)なり。
何(なん)ぞ分別(ふんべつ)を煩(わずら)わし、何(なん)ぞ取捨(しゅしゃ)を用(もち)いん。

この宇宙の全ての物、人間関係における全ての感情、社会における全ての出来事は、一般人の視点から見れば様々に異なるが、悟った人の視点からみればそれらは全て普遍である。
何故に、取捨選択に悩む必要があるか。
つまり、物質も現象も、極大も極小も、表面的には様々だが、本質的には同じということが俗人には解からないが、達人には見えますよということ。
言い換えれば、達人はこの世の可視的な物質、不可視的な物質、それらが現象させる全ての事象(生物の生命現象を含む)は、原因-縁-結果-縁-原因-・・・・という無限の連鎖反応の中にあり、その内の認識するごく一部に価値付けを行い一喜一憂している人を俗人といい、解かりかけている人を活人といい解かった人を達人といい、解かった上に、それに習って暮らしている人を悟人とか菩薩とか呼ぶのである。
慧智(030721)