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■前集79項

人只一念貪私、便銷剛為柔、塞智為昏、変恩為惨、染潔為汚、壊了一生人品。
故古人以不貪為宝、所以度越一世。

人は只だ一念貪私(いちねんたんし)なれば、便(すなわ)ち剛(ごう)を銷(け)して柔(じゅう)となし、智を塞(ふさ)ぎて昏(こん)となし、恩を変じて惨(さん)となし、潔を染(そ)めて汚(お)となし、一生の人品を壊了(かいりょう)す。
故に古人は貪(むさぼ)らざるを以って宝(たから)となせば、一世に度を越する所以なり。

人間は欲を張ると、強みは弱みとなり、智慧は輝きを失い、優しさは残酷さに変り、潔白は汚れ、品格は地に落ちてしまう。
だから、昔の人は、「清貧こそ宝」として一生を精進した。
つまり、強欲が人生を破滅させ、清貧が成功をもたらすよ、ということ。
言い換えれば、活人が福を追えば逃げ、追わなければ来るので、「招く」という気持ちが一番ということ。招福という発想。
慧智(030610)