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■前集168項

恩宜自淡而濃。
先濃後淡者、人忘其恵。
威宜自厳而寛。
先寛後厳者、人怨其酷。

恩(おん)は宜(よろ)しく淡(たん)自(よ)りて濃(のう)なるべし。
濃(のう)を先(さき)にし淡(たん)を後(あと)にするは、人(ひと)其の恵(めぐみ)を忘(わす)る。
威(い)は宜(よろ)しく厳(げん)自(よ)りして寛(かん)なるべし。
寛(かん)を先(さき)にして厳(げん)を後(あと)にするは、人(ひと)其の酷(こく)を怨(うら)む。

恩恵とは最初は薄く、後を厚くすべきである。
最初は厚く、後で薄くなると、人はその恩恵を忘れる。
威厳とは最初は厳格に、後は寛大にすべきである。
最初に寛大で、後で厳格になると、人はその残酷さを怨む。
つまり、人間は最初の印象が強いので、どんな場合でも、相手にとって損から始め、徐々に得に持っていかないと好意は逆効果になるということ。
言換えれば、活人は心理学者であり、心理技術の実践者であることを要すのである。
慧智(030627)