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■前集192項

受人之恩、雖深不報、怨則浅亦報之。
聞人之悪、雖隠不疑、善則顕亦疑之。
此刻之極、薄之尤也、宜切戒之。

人(ひと)の恩(おん)を受(う)けては、深(ふか)しと雖(いえど)も報(ほう)ぜず、怨(うらみ)みは則(すなわ)ち浅(あ)きも亦之(またこれ)を報(ほう)ず。
人の悪(あく)を聞(き)いては、隠(かく)るると雖(いえど)も疑(うたが)わず。善はすなわち顕(あら)わるるも亦之(またこれ)を疑う。
此れ刻(こく)の極にて、薄(はく)の尤(ゆう)なり、宜(よろ)しく切(せつ)に此れを戒(いまし)むべし。

他人から受けた恩義は深いものでも報いず、恨みは浅くても必ず反す。
他人の悪評は、本当かどうか解らなくても疑わず、善い評判は確かなのに疑う。
このようなことは冷酷極まりなく、甚だ薄情なので、必ず改めなさい。
つまり、この教えは、思わず「ハイ」と言いそうな位に身に染みる。
言い換えれば、活人は、「すべき事」をせず、「すべきでない事」はする人間が昔から如何に多いものかを知り、反省しなさいということだ。
翻って言えば「素直」になりなさい、あなたの本心!ということ。
慧智(030702)