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■前集199項

倹美徳也。
過則為慳吝、為鄙嗇、反傷雅道。
譲懿行也。
過則為足恭、為曲謹、多出機心。

倹(けん)は美徳(びとく)なり。
過(す)ぐれば則(すなわ)ち慳吝(けんりん)となりて、鄙嗇(ほしょう)となり、反(かえ)りて雅道(がどう)を傷(やぶ)る。
譲(じょう)は懿行(いこう)なり。
過(す)ぐれば即(すなわ)ち足恭(すうきょう)となりて、曲謹(きょっきん)となり、多(おお)くは機心(きしん)に出(い)ず。

倹約は美徳である。しかし、度を越すと“ケチ”となって、卑しくなり、目的とは反対に道を外れてしまう。
謙虚は善行である。しかし、度を越すと“バカ”丁寧となって、堅苦しくなり、魂胆があるように見なされてしまう。
つまり、物事には限度と適度があり、適度の幅は小さく、限度は越え易く、誤解を招き易いもの。
言い換えれば、活人が、良かれと思った行為こそ、誤解され易い。
翻って言える事は、道徳心のある自然体こそが一番との処世術ということだ。
慧智(030703)