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■前集211項

士大夫、居官不可竿牘無節。
要使人難見、以杜倖端。
居郷不可崕岸太高。
要使人易見、以敦旧交。

士大夫(しだいふ)、官(かん)に居(い)ては竿牘(かんとう)も節(せつ)無かるべからず。
人(ひと)をして見(み)難(がた)からしめ、以(もっ)て倖端(こうたん)を杜(ふき)がんことを要(よう)す。
郷(ごう)に居(い)ては崕岸(がいがん)太(はなは)だ高(たか)くすべからず。
人(ひと)をして見(み)易(やす)からしめ、以(もっ)て旧交(きゅうこう)を敦(あつ)くせんことを要(よう)す。

身分の高い者は、公職や官職を引き受けている間は、手紙やメールを書くにも節度を意識しなければならない。
それは他人に心を見透かされ、突け込まれる隙を与えないようにためだ。
また、公職や官職を終わって地元に戻ってからは、お高く留まって偉そうにしてはならない。
それは他人からわかりやすくして、旧交を温めるようにしなければならないからだ。
つまり、公の仕事をしている時は公明正大で、旧知の共とも一線を隔していないと、利益誘導を懇願されることになり、一度でも引き受けるとズルズルとなるし、経営現場では経営の透明性を維持して旧知の共との関係を厚くしなさいということ。
言い換えると、活人は、私人と公人の処世術は異なるということを知って事前に対処しておくことだ。
慧智(030706)