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■後集75項

詩思在灞陵橋上、微吟就、林岫便已浩然。
野興在鏡湖曲辺、独往時、山川自相映発。

詩思(しし)は灞陵橋(はりようきょう)の上(うえ)に在(あり)て、微吟(びぎん)の就(な)るとき、林岫(りんゆう)便(すなわ)ち已(すで)に浩然(こうぜん)たり。
野興(やきょう)は鏡湖曲(きょうこきょく)の辺(ほと)に在(あり)て、独(ひと)り往(ゆ)く時(とき)、山川(さんせん)自(おの)ずから相(あい)映発(えいはつ)す。

詩のアイデアが生まれるのは、“送別の橋(官僚が地方転勤に必ず渡る長安にあった橋)”の上で、かすかに口ずさむと周囲の風景が自然に共鳴する。
自然に親しむには、“送別の湖(吾人が君子と別れた逸話のある浙江省の湖)”のほとりで、一人たたずんでいれば、周囲の風景が親しみ其のものとなる。
つまり、物事には相応しい場所というものがある。
言換えれば、達人には達人に相応しい場所があるということを覚えておこう。
慧智(030718)