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■後集76項

伏久者、飛必高、開先者、謝独早。
知此、可以免蹭蹬之憂、可以消躁急之念。

伏(ふ)すこと久(ひさ)しき者(もの)、飛(と)ぶこと必(かな)ず高(たか)く、開(ひら)くこと先(さき)なる者は、謝(ち)ること独(ひと)り早(はや)し。
此(こ)れを知(し)らば、以(もっ)て蹭蹬(そうとう)の憂(うれ)いを免(まぬが)るべく、以(もっ)て躁急(そうきゅう)の念(ねん)を消(け)すべし。

長く羽を休めていた鳥が、飛び立てば、他の鳥より例外なく高く飛ぶことができ、花の中で早く開いてしまうものは、他の花より例外なく早く散ってしまう。
このことをわきまえていれば、人生の途中で疲れ果て勢いを失う心配からは免れることができ、成功を急ぐ心は消えうせる。
つまり、人には其々に“旬”があり、大器晩成という考えが納得できていれば、人生に焦って失敗することはないことに合点がゆくだろう。
言換えれば、達人も同様で、現役の時代に旬が来なかった人でも、退職後に旬が来れば、それは一生ものと言えるかもしれない。
翻った言えば、人生には必ず旬が来るから心配しないで悠々自適に生きようではないか。
慧智(030719)