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■後集100項

風花之瀟洒、雪月之空清、唯静者為之主。
水木之栄枯、竹石之消長、独閒者操其権。

風花(ふうか)の瀟洒(しょうしゃ)、雪月(せつげつ)の空清(くうせい)、唯(ただ)静(せい)なる者(もの)のみ、之(これ)が主(しゅ)と為(な)る。
水木(すいぼく)の栄枯(えいこ)、竹石(ちくせき)の消長(しょうちょう)、独(ひと)り閒(かん)なる者(もの)のみ、其(そ)の権(けん)を操(と)る。

そよぐ風や咲き誇る花がさっぱりとして、積もる雪や明るく照らす月が清清しい姿は、心静かな者だけが主人公となって味わえる。
水の流れや草木の生涯や竹や石の佇(たたず)まいに見られる四季の移り変わりは、一人で、のどかでゆとりのある生活をしている者のみが、それを味わう権利を得ている。
つまり、同じ現象、同じ事実に接しても、心が穏やかでさっぱりした気分で暮して居なければ、事物事象の本来の素晴らしさと接する事は出来ないということ。
言い換えれば、達人は如何なる状態にあっても、本物の風情を楽しめる人になっていることが大事だということ。
慧智(030724)