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■後集107項

興逐時来、芳草中撒履閒行、野鳥忘機時作伴。
景与心会、落花下披襟兀坐、白雲無語漫相留。

興(きょう)、時(とき)を逐(お)いて来たれば、芳草(ぼうそう)の中(うち)、履(くつ)を撒(なげう)ちて閒行(かんこう)し、野鳥(やちょう)機(き)を忘(わす)れて時(とき)に伴(とも)為(な)す。
景(けい)、心(こころ)を与(あた)え会(かい)さば、落花(らっか)の下(もと)、襟(えり)を披(ひら)いて兀坐(ごつざ)し、白雲(はくうん)語(ご)を無(なく)して漫(そぞろ)に相(あい)留(りゅう)す。

興味が湧いてきた時、良い匂いを放つ草むらの中を裸足になって静かに歩けば、野鳥は警戒心を解いて、時には、なついて来る。
景色が心の状態にピタッと合い、花吹雪の中でリラックスして坐っていると、白雲は何も語らないが、ゆっくりと流れては留まる。
つまり、何事にも“旬”や“時期”というものがあり、時に乗じて行われるのは自然の摂理に合っているので、物事は考える以上の成果を提供してくれるということ。
言換えれば、達人が自然体で暮していれば、思いついた時が全て“旬”である、“時期”だということで、何でも上手く行き、心からの喜びを味わえということだ。
慧智(030725)