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■後集113項

登高使人心曠、臨流使人意遠。
読書於雨雪之夜、使人神清、舒嘯於丘阜之嶺、使人興邁。

高(たか)きに登(のぼ)らば、人(ひと)をして心(こころ)曠(ひろ)からしめ、流(なが)れに臨(のぞ)めば、人(ひと)をして意(い)遠(とお)からしむ。
書(しょ)を雨雪(うせつ)の夜(よる)に読(よ)まば、人(ひと)をして神(かみ)清(きよ)からしめ、嘯(しょう)を丘阜(きゅうふ)の嶺(いただき)に舒(の)ぶれば、人(ひと)をして興(きょう)邁(まい)ならしむ。

高いところに登ると、人の心は広大になり、流れに接すれば、人の心は無辺となる。
雨や雪の日に読む書物は、人の心を崇高なものにし、小高い丘の上で詩歌を口ずさめば、人の心は深遠なものとなる。
つまり、人間は置かれた環境次第で広大無辺な心境を得られるし、頭の使い方次第で崇高深遠な心境が得られるのである。
言換えれば、達人は自分の心の置き場所や、頭の使い方を心して生きれば、有限な世界で無限な世界観を得られるということだ。
慧智(030727)