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■後集116項

就一身了一身者、方能以万物付万物。
還天下於天下者、方能出世間於世間。

一身(いっしん)に就(つ)きて、一身(いっしん)を了(りょう)ずる者(もの)、方(はじ)めて能(よ)く万物(ばんぶつ)を以(もっ)て万物(ばんぶつ)に付(ふ)す。
天下(てんか)を天下(てんか)に還(かえ)す者(もの)は、方(はじ)めて能(よ)く世間(せけん)より世間(せけん)に出(い)ず。

自分自身、独力で悟りの境地を得た者は、それにより始めて万物の本来の在り方を観て、万物を在るがままの状態にしておける。
天下を本来在るべき姿に還した者は、それにより始めて、俗世間に在りながら俗世間を超えられる。
つまり、悟りとは自我を超え、自分を含め物全てに本質を観る事が出来、本来の在り方に委ねられ、社会を自然な流れ戻した者は、現象の内に在りながら本質の世界に生きられる。
言換えれば、達人とは、全ての事物を現象として認知し“在るがまま”を完全として受け止められる人間である。
慧智(030728)