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■後集117項

人生太閑、則別念竊生、太忙則真性不現。
故士君子不可不抱身心之憂、亦不可不耽風月之趣。

人生(じんせい)太(はなは)だ閑(かん)なれば、則(すなわ)ち別念(べつねん)竊(ひそ)かに生じ、太(はなは)だ忙(ぼう)なれば、則(すなわ)ち真性(しんせい)現(あらわ)れず。
故(ゆえ)に士君子(しくんし)、身心(しんしん)の憂(うれ)いを抱(いだか)ざる不可(べからず)、亦(また)風月(ふうげつ)の趣(おもむき)に耽(ふけ)らざる不可(べからず)。

人生が閑すぎると下衆な考えが浮かび、急がし過ぎると本性が現れない。
だから、上に立とうとする者は、適度な心配事を抱きつつ風流な趣味にも興じる必要がある。
つまり、適度な刺激がもたらすユーストレス状態こそ、その人間をその人間らしくするものなのだ。
言換えれば、達人は適度な質量の“すべき事”を持つ様にしないと心身ともに健康ではいられないということだ。
慧智(030728)