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■後集98項

遇病而後思強之為宝、処乱而後思平之為福、非蚤智也。
倖福而知其為禍之本、貪生而先知其為死之因、其卓見乎。

病(やまい)に遇(お)うて後(のち)に強(きょう)の宝(たから)為(た)るを思(おも)い、乱(らん)に処(お)りて後(のち)に平(へい)の福(さいわい)為(た)るを思(おも)うは、蚤智(そうち)に非(あら)ざるなり。
福(さいわい)を倖(ねが)いて、其(そ)の禍(わざわい)の本(もと)為(た)るを知り、生(せい)を貪(むさぼ)りて先(ま)ず其(そ)の死(し)の因(いん)為(た)るを知るは、それ卓見(たっけん)なり。

病気になってはじめて健康の重要性に気付き、戦争になってはじめて平和の有難さに気付くような人は、先見の明がある人とは言えない。
幸福を願いながら、それが不幸の原因となることを知り、長生きを願い事が死の原因であることを悟ることが達観するということだ。
つまり、俗人の多くは、失わなければ、今の良さにに気が付かないし、欲望を起こせば命を縮める知らなければならないと言っている。
言換えれば、達人は「今、此処の状態」を最良として生きることが最高の生き方であることを理解しなさいと読める。
慧智(030724)