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■後集123項

山肴不受世間潅漑、野禽不受世間拳養、其味皆香而且冽。
吾人能不為世法所点染、其臭味不迥然別乎。

山肴(さこう)は世間(せけん)の潅漑(かんがい)を受(う)けず、野禽(やきん)は世間(せけん)の拳養(けんよう)を受けず、其(そ)の味(あじ)皆(みな)香(かんば)しくして且(か)つ冽(れつ)なり。
吾人(ごじん)能(よ)く世法(せほう)に点染(てんせん)せられざれば、其(そ)の臭味(しゅうみ)は、迥然(けいぜん)として別(べつ)ならずや。

山菜は人の世話を受けないで育ち、野性の生き物も人の世話を受けずに育ち、其々の味は風味があり個性的である。
我々人間も、俗世間の慣習に染められなければ、その人望や風格は格別だろう。
つまり、達人は、大いなる自然の摂理に学び、独立独歩で生きてゆけば、元来の面目が現れ、大人格者となるだろうということだ。
言換えれば、達人を慕う後輩がいれば、彼らを自分の価値観で教育しようなどとは考えてはいけないという戒めである。
慧智(030728)