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■後集130項

波浪兼天、舟中不知懼、而舟外者寒心。
猖狂罵坐、席上不知警、而席外者咋舌。
故君子身雖在事中、心要超事外也。

波浪(はろう)の天(てん)を兼(か)ねるや、舟中(しゅうちゅう)懼(おそ)るるを知(し)らず、而(しか)して舟外(しゅうがい)の者(もの)は心(こころ)を寒(さむ)くす。
猖狂(しょうきょう)坐(ざ)を罵(ののし)るや、席上(せきじょう)警(いま)しむるを知(し)らず、而(しか)して席外(せきがい)の者(もの)は舌(した)を咋(か)む。
故(ゆえ)に君子(くんし)は、身(み)事中(じちゅう)に在(あ)りと雖(いえど)も、心(こころ)は事外(じがい)に越(こ)えんことを要(よう)するなり。

逆巻く波が天のよう覆い被さってしまえば、舟に乗っている人は怖さを感じないが、外で見ている者は心を震え上がらせる。
猛り狂う者が宴席で罵倒しだすと、同席している者はそれを戒めないから、周囲の客は苦々しく思う。
だから、上に立つ賢い者は、その身が渦中にあっても、心は高く置いて冷静に対処する必要があるということ。
つまり、達人は自分を失うようなことが無い様に群れる事を差し控えておく方が良いが、仮に渦中にあっても付和雷同することが無い様に心しておこう。
言い換えれば、達人は平常心是道なり、を座右の銘にしておこう。
慧智(030730)