«« ■後集131項 | メイン | ■後集133項 » »

■後集132項

天運之寒暑易避、人世之炎凉難除。
人世之炎凉易除、吾心之氷炭難去。
去得此中之氷炭、則満腔皆和気、自随地有春風矣。

天運(てんうん)の寒暑(かんじょ)は避(さ)け易(やす)きも、人(ひと)の世(よ)の炎凉(えんりょう)は除(のぞ)き難(がた)し。
人(ひと)世(よ)の炎凉(えんりょう)は除(のぞ)き易(やす)きも、吾(わ)が心(こころ)の氷炭(ひょうたん)は去(さ)りがたし。
此(こ)の中(なか)の氷炭(ひょうたん)を去(さ)り得(え)ば、則(すなわ)ち満腔(まんくう)皆(みな)和気にして、自(おのず)から地(ち)に随(した)がいて春風(しゅんぷう)有(あ)り。

四季が巡らせる寒さ暑さは簡単に避けることが出来るが、人の世の熱さ冷たさは無くす事が難しい。
人の世の熱さ冷たさは簡単に無くすことできるが、自分の心の熱し易さや冷ややかさは無くし難い。
この心の中の熱し易さや冷ややかさを無くすことが出来れば、胸中は穏やかで自然に春風が吹いている心境になる。
つまり、物理的問題は物理的に解決できるが、心理的問題は物理的には解決できないし、社会的問題は社会的に解決できるが、心理的問題は社会的に解決は出来ないが、心理的問題は心理的に解決するしか方法が無く、それば出来れば大安心の境地だと言っている。
言い換えれば、達人の問題解決技法とは、心理的な方法論の一点に帰すことを悟っておかなければ成らないだろうということだ。
慧智(030731)