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■後集133項

茶不求精而壷亦不燥。
酒不求冽而樽亦不空。
素琴無絃而常調、短笛無腔而自適。
縦難超越羲皇、亦可匹儔荊嵆阮。

茶(ちゃ)は精(せい)を求(もと)めず、而(しか)して壷(つぼ)も亦(また)燥(かわ)かず。
酒(さけ)は冽(れつ)を求(もと)めず、而(しか)して樽(たる)も亦(また)空(むな)しからず。
素琴(そきん)は絃(げん)無(な)くして常(つね)に調(ととの)い、短笛(たんてき)は腔(あな)無(な)くして自(おのず)から適(てき)す。
縦(たと)い羲皇(ぎこう)を超越(ちょうえつ)し難(がた)きも、亦(また)嵆阮(けいげん)に匹儔(ひっちゅう)すべし。

お茶は極上品を求めなければ、茶壷が空になることはない。
酒は極上品を求めなければ、酒樽が空になることはない。
素朴な琴に弦は無いがいつでも調子が良いし、短い笛に指穴は無いがいつでも音が出せる。
喩え、文字や八卦を発明し産業を発明した天才「羲皇(ぎこう)」を超えることは出来ないまでも、竹林の七賢人である嵆阮(けいげん)程度にはなれる。
つまり、達人は足るを知れば、天才と言われなくても賢者にはなれるということだ。
言い換えれば、達人とは大自然の原理原則を知って「それ以上」を望まずして、在るがままに生きている人と言えるのだろう。
慧智(030731)