両忘活人禅のことば

快紹慧智(平成13年春 初記)

  
  
  ま

 あ
● 網代笠(あじろがさ)
 托鉢や行脚の際にかぶる編み笠。
● 行脚(あんぎゃ)
 坐禅修行のために、師家を求めて各地の僧堂を訪ね歩くこと。
● 行者(あんじゃ)
 剃髪、袈裟衣の姿で、寺に住み奉公する出家、得度前の者。
● 安居(あんご)
 修行僧が僧堂に留まって修行すること。一安居は90日間。夏安居と冬安居がある。安居の開始日は僧堂によって異なる。
 
 い
● 一箇半箇(いっこはんこ)
 ごく少数の綿密な修行者。
● 衣鉢(いはつ)
 雲水が所持する三衣一鉢のこと。
● 維那(いのう)
 先導者。経の読み始めの回向をなす。
● 印可(いんか)
 坐禅修行をすべて終え、然るべき時に、師家から参禅者に与えられる証明のこと。印可証明。
● 引鏧(いんきん)
 禅堂の指導者が、止静・抽解の合図に使う小さな鐘。
● 隠寮(いんりょう)
 隠居した住職や師家など老師が起居する部屋。
 
 う
● 雲水(うんすい)
 禅宗の修行僧のこと。雲衲(うんのう)とも言い、人数が多い場合は、大衆(だいしゅう)とも言う。
● 雲板(うんばん)
 寺の庫裏(くり)などに掛けてある開静(かいじょう)や粥座(しゅくざ)の合図に鳴らされる雲の形をした金属製の板。
 
 え
● 会下(えか)
 師家に参ずる人たち。弟子たち。「○○和尚は△△老師の会下である」というように用いる。
● 園頭(えんず)
 寺の畑の管理者。
● 円相(えんそう)
 禅僧が描く「円」のことで、実相の真理の象徴。
 
 お
● 黄檗宗(おうばくしゅう)
 禅宗の一派。開祖は隠元禅師。
本山は京都府宇治市の黄檗山万福寺。
● 応量器(おうりょうき)
 臨済宗でいう持鉢(じはつ)という曹洞宗で使う個人用の食器。雲水が僧堂に掛塔する際に持参する。一般に五枚重ねの黒塗りの器で、食事の際に並べて使用する。袱紗・膝掛・浄巾・水板・鉢単・箸・匙等が付属する。
 
 か
● 開山(かいさん)
 お寺を創設すること。または寺を創設した僧のこと。
● 開静(かいじょう)
 起床。
● 解制(かいせい)
 制中の終わり、制間の始まり。→制中・制間
● 開単(かいたん)
 僧堂を開くこと。
● 解静=開枕(かいちん)
 就寝のこと。
● 開板(かいはん)
 合図や時刻を報ずるために木版(もっぱん)と呼ばれる板を叩くこと。
● 荷澹(かたん)
 法要や行事の手伝いのため、雲水が他の僧堂や寺院に赴くこと。
● 喝(かつ)
 法語を唱えた後の「かーつ」と叫び、喝一喝すること。
● 合掌(がっしょう)
 仏である右手、自分である左手を合わせ一体化させること。
● 掛搭(かとう・かた)
 雲水が僧堂に籍をおいて修行すること。
掛搭してまもない雲水を新到(しんとう)と言う。新到が掛搭する際の作法は厳格に決められている。
● 鎌倉五山(かまくらござん)
 円覚寺・建長寺・寿福寺・浄智寺・浄妙寺のこと。
● 喚鐘(かんしょう)
 独参で、参禅者が師家の部屋に入る際に合図のために鳴らす、小鐘。
● 看経(かんきん)
 声を出さずに経を読むこと。転じて仏前で経を読むこと。諷経(ふぎん)、誦経(ずきょう)と同じ。
● 監寺(かんす)
 住職代行の事務を担当する僧侶。
● 看頭(かんとう)
 食事作法の指導者、飯台看の略。
● 看話禅(かんなぜん)
 話とは公案、看話とは公案を工夫すること。公案を解いて大悟徹底を目指す臨済宗の禅風。
 
 き
● 行持(ぎょうじ)
 「行の時。修行の際⇔説時」【禅辞】
● 暁天(ぎょうてん
  ・きょうてん)
 明け方。または暁天坐禅(曹洞宗で明け方に行われる坐禅)のこと。
● 京都五山(きょうとござん)
 京都の禅寺で、東福寺・南禅寺・天龍寺・建仁寺・相国寺・大徳寺・万寿寺の七ケ寺。
● 経行(きんひん)
 経とは縦糸のことで、真っ直ぐ行って真っ直ぐ帰ること。眠気や退屈を防ぐため大衆が心気一転のため一斉に僧堂の周りや廊下を歩くこと。臨在は早く、曹洞は遅い。
 
 く
● 供給(くきゅう)
 食事の給仕をすること。それをする人を飯台看。
● 庫裏(くり)
 寺院で、僧侶が生活する場所。庫院(くいん)とも。
 
 け
● 解間(げあい)
 【臨】制間。【曹】制中が終わり、次の制中が始まるまでの三ヶ月間。
● 警策(けいさく)
 僧堂で眠気を覚まさせ、励ますために肩など打つ樫の棒。
● 袈裟文庫(けさぶんこ)
 行脚の際に袈裟や血脈、経本等を入れる箱。風呂敷で包んで上部を紐で縛り、首から提げる。袈裟行李(けさごおり)とも。
● 偈頌(げじゅ)
 禅僧の作る漢詩で、悟りの境涯や法の功徳、仏法の法理を詠んだもの。
五字ないし七字を一句として多くは4句で一偈(げ)とする。
● 結縁(けちえん)
 仏法により「縁」を結ぶこと。
● 結跏趺坐(けっかふざ)
 坐禅時の正規の座り方で、左足の甲を右腿の上に載せ裏を天に向け、右も同様にする足組み姿。
● 戯論(けろん)
 道理に合わない分別や言論。
● 見解(けんげ)
 与えられた公案に対する修行者自身の個人的な判断による所感・回答・見解。「見解を呈する」の様に用いる。
● 見性(けんしょう)
 自己の本性に透徹すること。
● 鉗鎚(けんつい)
 鍛冶師が鉗(金はさみ)と鎚(金づち)で鋳物を作り上げるように、師家が弟子を厳しく指導していくこと。
 
 こ
● 公案(こうあん)
 公府の案牘(あんとく)の略。坐禅修行の際、その指導者である老師から与えられる問題。「趙州無字」「南泉斬猫」など、昔の禅僧の言行を題材にした問題が多い。公案集としては「臨済録」「無門関」「碧巌録」「従容録」等があり、俗に1700あるという。
特に、日常の場面で出会う課題を特別に「現成公案(げんじょうこうあん)。
● 香語(こうご)
 法要の際、導師が唱える偈頌(げじゅ)。拈香法語(ねんこうほうご)の略。
● 口頭禅(こうとうぜん)
 口先だけの禅。
● 香盤(こうばん)
 坐禅の時間を計るために線香を立てる台。
● 居士(こじ)
 出家をせず、在家の立場で禅の修行をする男性のこと。女性の場合は、大姉(だいし)または禅子(ぜんこ)。
● 古参(こさん)
 旧参(きゅうさん)と同じでベテランの参禅者。
 
 さ
● 斎座(さいざ)
 昼食のこと。 禅堂での正式な昼の食事。
● 拶所(さっしょ)
 公案禅で、本則が通った際に与えられる付随的な小問のこと。
● 生飯(さば)
 鬼界の衆生に施す食物。米なら七粒以下。
● 坐蒲(ざふ)
 坐禅を組む時に尻の下に敷くクッション。黒色が普通。
● 作務(さむ)
 禅寺での日課として行われる様々な労働のこと。
● 作務衣(さむえ・さむぎ)
 作務の時に着る衣。
● 茶礼(されい)
 【臨】禅寺で大衆が揃ってお茶を飲むこと。住職以下、僧堂内全員が参加する場合は総茶礼という。【曹】では主に行茶という。
● 暫暇(ざんか)
 数日間、僧堂から休みをもらって外出すること。
● 参禅(さんぜん)
 禅に参ずること、つまり坐禅。狭義には修行者が師家の部屋に入室して、公案に対する見解を呈するために師家に独参をすること。見解の有無に関わらず全員が必ず入室しなければならない時を総参という。
● 三昧(ざんまい)
 梵語の音写で、「成り切ること」一境に専注する事。
● 三應(さんのう)
 師家に仕える役、隠侍(いんじ)。
 
 し
● 知客(しか)
 僧堂で雲水の取締役。寺務の統括者。接客を担当する。
● 只管打坐(しかんだざ)
 曹洞宗の禅風で「只管(ひたすら)坐ることで三昧の境地を得ようとするもの。
● 師家(しけ)
 僧堂で修行者の指導をする最高指導者。=老師(ろうし)。
● 直日(じきじつ)
 安居(あんご)、座禅修行の時に、僧堂での雲水の取り締まり役で日々の決まりごとを行う幹事。
● 食堂(じきどう)
 禅堂で音を出してはならない禅堂・東司(といす・トイレ)・食事をするこの堂を三黙堂と言い、その一つ。
● 四弘誓願(しくせいがん)
 全ての菩薩が発する4つの誓願。
衆生無辺誓願度・煩悩無尽誓願断・法門無量誓願学・仏道無上誓願成の四句。
● 師家(しけ)
 師となる僧。得度の師、あるいは参学の師。
● 止静(しじょう)
 坐禅の始まりで、堂内の出入りを禁じ大衆を寂静に止住させること。反対語は、開静(かいじょう)。
● 示寂(じじゃく)
 寂滅を示すことから、高僧が死ぬこと。遷化とも。
● 侍者(じしゃ)
 僧堂で雲水の世話をする役目。曹洞宗では禅寺の住職等、高僧の傍について世話をする配役。
● 室号(しつごう)
 【臨】師家が名乗る号。印可証明の際にその師から与えられ名乗る場合あり。○○室、○○軒、○○庵、○○窟などと号す。
● 竹箆(しっぺい)
 法具の一。割った竹から作った弓状になった長い棒で、師家が学人の指導をするときに用いる。曹洞宗では首座(しゅそ)法戦式の際、一山の雲水の代表者である首座が竹箆を携えて問答を繰り広げる。
● 持鉢(じはつ)
 臨在系の雲水が僧堂に掛塔する際に持参する個人の食器。一般に五枚重ねの黒塗りの器で食事の際に並べて使用する。曹洞宗では応量器という。
● 嗣法(しほう)
 修行を終えた禅僧が師匠の法脈を継ぎ、佛祖の系譜に連なること。
● 著語(じゃくご)
 禅録の本則および頌等の句の下につけ加える短評。
● 叉手(しゃしゅ)
 左手を外側にして両手を重ねて胸にあてる。叉手當胸(しゃしゅとうきょう)
● 誦経(じゅきょう)
 経を声を出して読むこと。
● 十牛図(じゅうぎゅうず)
 修行者が坐禅を行うことによって進んでいく境涯を牛と童子を題材にした十章の絵と頌(じゅ)であらわしたもの。
「1.尋牛、2.見跡、3.見牛、4.得牛、5.牧牛、6.騎牛帰家、7.忘牛存人、8.人牛倶忘、9.返本還源、10.入廛垂手(にってんすいしゅ)」
● 聖侍(しょうじ)
 禅堂の文殊菩薩(聖僧)に仕える禅堂内の世話役である侍者。
● 宗乗(しゅうじょう)
 各宗派ごとの教学のこと。これに対し、他宗派の学問を「余乗」という。
● 粥座(しゅくざ)
 朝食のこと。僧堂の朝食は必ずお粥。
● 相見(しょうけん)
 正式に高僧、師家に面会すること。
● 相見香(しょうけんこう)
 高僧に相見する際に包む若干の金品。本来は文字通りお香だが、お香代「香資」としてお金を包むようになる。
● 小参(しょうさん)
 上堂(大参)に対して、禅寺の住職が修行僧に親しく修行の心得や家訓を説くこと。
● 上山(じょうざん)
 僧堂に掛搭すること。
● 聖僧(しょうそう)
 坐禅堂に奉られているご仏像。たいていは僧形の文殊菩薩像。雲水は親しみを込めて「聖僧さん」という。
● 上堂(じょうどう)
 禅寺の住職が法堂にて説法をすること。
● 除策(じょさく)
 策は、坐禅で用いる警策のこと。策を除くこと、即ち坐禅を休むこと。
● 清規(しんぎ)
 禅寺にて修行僧が生活する規則を集めたもの。唐代の僧、百丈懐海禅師が制定した百丈清規が最初とされる。
● 晋山式(しんざんしき)
 寺院で、新しい住職の就任式。
● 進退(しんたい)
 坐禅堂や本堂での作法、朝課など法要での当役の動作のこと。(例)導師進退
● 新到(しんとう)
 僧堂に入門して間もない雲水のこと。
 
 す
● 垂示(すいじ)
 語録の本則を提示する前の冒頭の一章を指す
 
 せ
● 制間(せいかん)
 制中と制中の間の年二回 の期間。僧堂に掛塔する際には、制中に入る前の制間中に掛塔しなければならないため、行脚の期間でもある。
● 制中(せいちゅう)
 僧堂での修行期間。三ヶ月を一期とする。制中の間は僧堂に掛塔したり、乞暇することは出来ない。
● 接化(せっけ)
 接受化益の略。衆生(この世に生きるもの)を仏道に導き、救済することを言うが、禅宗では、師家が雲水の参禅指導をする意にも用いる。
● 接心(せっしん)
 摂心とも。僧堂において昼夜を問わず、坐禅を専一に行うために設けられる期間。
● 接了(せつりょう)
 摂心の終了。
● 遷化(せんげ)
 高僧が亡くなること。示寂とも。教化を次の生に遷すことから。
● 禅宗(ぜんしゅう)
 坐禅を宗旨とする仏教の宗派。日本では臨済宗・黄檗宗・曹洞宗がある。
● 禅堂(ぜんどう)
 坐禅堂の略。狭義の僧堂と同じ。
● 選仏堂(せんぶつどう)
 選仏場とも。坐禅堂の異称。「仏を選び出す堂」「選ばれた仏の堂」から。
 
 そ
● 僧堂(そうどう)
 雲水が起居して参禅修行する場所。狭義には坐禅する建物(坐禅堂)のみをさす。
広義には法堂・仏殿など、坐禅堂を含む、雲水の修行する寺院全体をさす。この場合は、○○寺専門僧堂、専門道場と同義。
● 曹洞宗(そうとうしゅう)
 禅宗の一派。開祖は道元禅師。
本山は福井県の永平寺・神奈川県の総持寺。
● 叢林(そうりん)
 叢は草むらのこと。草が林のように集まって真っ直ぐに育っていくことから、雲水の修行道場、僧堂を指す。
 
 た
● 大悟(だいご)
 悟りを超越した悟り。「大」は相対的な大小ではない。
● 柝 (たく)
 経行・抽解(ちゅうかい)の合図に用いる拍子木。
● 托鉢(たくはつ)
 僧堂で行われる行事。雲水が僧堂周辺の市井を読経しながら歩き、信施を乞うこと。托鉢の作法は各僧堂によって厳格に決められている。
● 塔頭(たっちゅう)
 大本山等の大きな寺院の敷地に内在する小寺院。塔頭を専門僧堂としている寺院もある。
● 立枯禅(たちがれぜん)
 実践を伴わないで理屈ばかりの禅。
● 単(たん)
 坐禅堂内で雲水ひとりひとりに与えられる畳一枚分の空間。ここで起居・坐禅をする。食事をする場合もあり。
● 旦過寮(たんがりょう)
 僧堂に掛塔する際に、一定期間過ごさねばならない部屋。一般に五日から一週間か。旦過寮では、自分の袈裟文庫を前に面壁坐禅をして終日過ごす。
● 端坐(たんざ)
 正しい作法・姿勢で坐ること。
● 単頭(たんとう)
 僧堂の役職の一。後堂の下。修行僧を指導・監督する立場。
 
 ち
● 朝課(ちょうか)
 僧堂で行われる朝の勤行(ごんぎょう)のこと。
【臨】本尊諷経・祖師諷経・祠堂諷経・火徳諷経・四弘誓願…【法式】
【曹】仏殿諷経・応供諷経・祖堂諷経・開山歴住諷経・祠堂諷経…【行持】
● 抽解(ちゅうかい)
 止静を解いて堂内に出入りを許す。
 
 て
● 提唱(ていしょう)
 僧堂で師家(=老師)が行う、禅についての講義。「臨済録提唱」「無門関提唱」「趙州録提唱」など、祖録を基に行われる。
● 提撕(ていぜい)
 公案を工夫するなど、坐禅に真剣に取り組むこと。
● 転錫(てんしゃく)
 錫杖を転ずる事から、僧堂を移ること。別の僧堂に掛搭すること。
● 典座(てんぞ)
 僧堂で修行僧の食事を作る役。
 
 と
● 道号(どうごう)
 禅僧が僧名(法諱・ほうい=諱・いみな)の上に付けて名乗る二字の号。古くは住した山の名から取られることが多いが、後代は師匠から与えられたり、自身でつけたりする。(例)快紹慧智・大愚良寛。
● 投宿(とうしゅく)
 行脚中の僧が寺院に泊めてもらうこと。
● 東司(とうす)
 禅寺の便所のこと。
● 堂頭(どうちょう)
 禅寺の住職のこと。
● 独参(どくさん)
 坐禅修行の際、参禅者が一対一で老師と相対し、与えられた公案についての自身の所見を述べること。臨済系の僧堂に於いて一般的に行われている。
● 独接心(どくぜっしん)
 山中の空き寺やお堂などで独り集中して坐禅をすること。
● 得度(とくど)
 出家して僧となること。師匠の元で得度式をあげ、その弟子となる。
 
 に
● 二便往来(にべんおうらい)
 大小便に行くこと。
● 入室(にゅうしつ)
 修行者が指導を受けるために師家の室に入ること。
● 入定(にゅうじょう)
 禅定に入ること。或いは、高僧が亡くなる。
● 庭詰(にわづめ)
 新到が専門道場に入門する際、まずその庫裏の玄関の上がり口に腰掛け、袈裟文庫を置き、その上で数日間低頭し続け、入門の許可を得なければならない。これを庭詰といい、雲水入門の最初の関門である。
 
 ね
● 寝忘れ(ねわすれ)
 大きな行事があったりした日の翌朝、朝課・朝の坐禅を休むこと。
 
 は
● 拝請(はいしょう)
 法要等で、他の寺院の住職・僧侶を招くこと。
● 晩課(ばんか)
 僧堂で行われる夕刻の勤行(ごんぎょう)のこと。
 
 ひ
● 評唱(ひょうしょう)
 古人の古則・公案などにあるある一問一答を公平に批評し、自らも共鳴して唱和すること。
 
 へ
● 弁事(べんじ)
 個人的な所用のため日中僧堂から外出すること。
● 弁道(べんどう)
 修行に励むこと。
 
 ほ
● 法諱(ほうき)
 法名。法号。安名。得度の際に師匠から与えられる名前。例・愚道(道号)宗玄(法諱)
● 法語(ほうご)
 宗師家が学人に対し仏法の道理を示した語。
● 方丈(ほうじょう)
 禅寺で、その住職のすむ場所。あるいは住職。
● 法鼓(ほっく)
 法要・法式に用いる大きな太鼓。
 
 も
● 門宿(もんしゅく)
 庭詰め中で掛搭をまだ許可されない行脚僧が寺院の門前で一夜を明かすこと。現在は(多分)行われていない。
「古来、禅門では叢林に掛錫を請うてもすぐ許されず、新到の雲水は許されるまで待ちつづける。その間、夜は山門頭の軒下で露宿した」
● 黙照禅(もくしょうぜん)
 臨済宗系の公案を用いた看話禅に対峙する曹洞宗の面壁しての只管打坐を言う。
● 没縦跡(もっしょうせき)
 大悟徹底した者の自由自在・融通無碍な行履(あんり)をいう。
● 木板(もくはん・もっぱん)
 坐禅の前後に打ち鳴らす板。
 
 や
● 野狐禅(やこぜん)
 真実の参禅弁道をしていないのに、悟境に達したような態度をしている者の、似せものの「坐り」。
● 薬石(やくせき)
 夕食のこと。
● 夜坐(やざ)
 開枕の後にする樹下石上で座布団を敷いて独坐すること。
 
 り
● 臨済宗(りんざいしゅう)
 禅宗の一派。開祖は中国唐代の曹州南華出身の臨済義玄禅師で河北鎮州城東南の臨在院に住し、臨在録として法語を収録してある。諡号(おくりな・しごう)を慧照(えしょう)。
現在日本の開祖は明庵栄西(えいさい)禅師(宗代の虚庵懐敝禅師に参禅)、帰国後、博多の聖福寺、京都の建仁寺の開山、現在14派がある。
● 領解(りょうげ)
 会得すること。したこと。
 
 ろ
● 老師(ろうし)
 僧堂で雲水の参禅指導をする人=老大師、師家(しけ)。
● 臘八大摂心
(ろうはつおおせっしん)
 12月8日=臘八。全国の専門道場で12月の1日から8日未明まで行われる接心行。釈尊が12月8日未明、明けの明星を見て悟りを開いたことに因む。年に何度か行われる接心の中でも一番厳しい。
 
 わ
● 話頭(わとう)
 話則(わそく)、話(わ)、公案。参禅弁道の話。
● 和賛(わさん)
 禅宗で一般に用いられる漢文ではなく、和文によって、仏の功徳や祖師方の言行を称えた文。「白隠禅師坐禅和賛」が有名。